ご挨拶
この記事は名古屋本店の弁護士の早河弘毅が作成をさせていただきました。ご参考になれば幸いです。よろしくお願いいたします。


未払い残業代の請求について
未払い残業代は解雇事件と並んでご相談を多くお受けします。
残業代請求は、証拠が揃っていれば戦いやすい事件類型ですので、弁護士も積極的に広告を行っております。
これを目にした相談者の方々からの問い合わせを多く頂戴します。
残業代以外のトラブルがきっかけになることも
上述のとおり、残業代は比較的「手堅い」面もありますので、残業代以外の件で問い合わせをなさった方でも、検討をしてみると残業代を請求する余地があるケースは多いです。
とくに、パワーハラスメントは、頼っていただくことが多い局面ではありますが、現行法下では立証に難がつきまとうとともに、損害額についても低額にとどまりがちです。
そこで、残業代請求であればなんとからないか、という方向性を並行して検討した結果、こちらを請求のメインにするという作戦になることもあります。
残業代請求事件が起きやすい業種について
運送業の残業代請求は多い
残念ながら、運送業は、コンプライアンスの意識が高くない会社も少なくありません。その一方で、時給は高いケースも少なくないので、弁護士に依頼をした場合に弁護士報酬を考慮してもペイする結果になりやすいです。したがって、弁護士への依頼も多くあるという状況です。
運送業というと長距離トラックを連想されるかもしれませんが、いわゆる軽貨物の分野でも問い合わせはあります。
残業代請求を多く扱う法律事務所では、弁護士も事務員も、タコグラフや日報の読み込みがどんどん深く正確になっていきます。
それ以外に残業代請求が起きやすい業種について
他の業種でも残業代請求が発生することはあります。弁護士に依頼をするなど、事件になりやすいのは、①コンプライアンスの意識が低く、②使用者が把握していない業務が発生し、③時給が高い業種です。
当たり前ではありますが、そもそも未払い残業代請求が発生する会社は、基本的にコンプライアンスの意識が低かったり、厚生労働省がモデル就業規則を出してくれているのにわざわざ自社で奇妙な就業規則を作成していたりしますので、他の問題も併発していることが多いのです。

未払い残業代請求事件の依頼者について
経済的な面から言うと
残業代請求事件は、イメージに反し在職中に行われるという強い方もいますが、ほとんどは退職後に行われます。残業代は、①出ると思っていなかったけれども相談してみたら出ることが分かって請求するケース②請求すれば出るだろうとは思った状態で、金額まではイメージしないまま請求もせずにいたケースの2類型に分かれるイメージがあります。
いずれのケースでも、「残業代で生計を維持しよう」「残業代が出ないと生活ができない」と思っているわけではないので、解雇を言い渡されたようなケースに比べると生活に余裕はあります。
その一方で、この残業代を掘り起こすためにコストをかけたくないと思うのが自然でもあるので、基本的には着手金無料で対応する弁護士が選ばれます。
そして当然ですが、出るのであれば、残業代は1円でも多いほうが良いと思っていることでしょう。
感情的な面から言うと
たとえ退職をして顔を合わせることがなくなっていても、在職中円満であったのならば、退職後残業代請求をしないケースは多いです。ようは「持ちつ持たれつ」だと考えて割り切るわけです。お世話になったのに申し訳ないと思うわけです。
ですので、残業代請求をするケースのほとんどでは、労働者から使用者への感情は良いものではありません。
むしろ、上述したように、本来であればパワーハラスメントであったり、他の違法を訴えたいと考えているものの、それらを裁判にのせるのは難しいから残業代請求を行っているというケースもあります。
残業代請求にすべての思いを込めたい、会社をやっつけたい、反撃の番が自分にやっと回ってきた、そう思っている人も、決して珍しくはないです。
当職が心がけていること・対応方針
受任件数を絞ることによりリソースを集中させる
率直に申し上げて当職は事件をお受けすることがそもそも多くはないです。残業代請求は口で言うよりも、請求する側もされる側も大変で、手間をかけないと失敗します。
具体的には、証拠を一つ一つ精査して、労働実態と矛盾していないか確認をしていきますが、漫然と見ていると気づけないことが多いです。
労働事件は、まだ本格的に扱っていないもののこれからは頑張ってみたいと思っている弁護士が現状多く、よく、「労働法をちゃんと勉強しなきゃ」という声を聞きます。しかし、事件処理を拝見すると、証拠があまり読めていないケースが多いです。
もちろん、法律の基礎が自分の中にちゃんとあることで、初めて落ち着いて証拠を批判できるという面はあるのかもしれません。しかし、司法修習などでは証拠から事実を認定する姿勢を磨いてきているにもかかわらず、いささかもったいないなと思います。
人間は、同時処理すべきタスクやコストが多くなると、パフォーマンスは当然下がってきますので、慣れない分野で法律を調べながらやっていたり、あるいは、慣れている弁護士であっても、手持ちが多すぎると往々にして対応を誤ることがあると考えております。
それで、私も受任件数を絞っておりますし、経費を削減して、それで経営が成り立つようにしております。
知識そのものの水準を上げる
当たり前ですが、勉強を怠らないようにしています。もともと、労働法は選択科目にしており、司法試験でもこの科目の成績は良いものになりました。
依頼者の思いを正しい意味で正面から受け止めることが重要
上述した残業代請求の特徴から、この類型を請求側で受任する弁護士は、しばしば、残業代請求とは関係のない違法であったり、違法と呼ぶべき域にも達しない事柄を、受任通知や訴状にのせてほしいと言われることがあります。
これに対するスタンスは、弁護士の数だけあります。正解は、事件によって違うのであると思います。私も、個別の案件・依頼人に応じて柔軟に使い分けるようにしております。
私は、どちらかというと、弁護士のところでシャットアウトしてしまうよりは、協議して洗練させた形で、本気で裁判所に訴えていこうと思うタイプではあります。
裁判所に主張が認めてもらえないのだとしても、それを確認する権利が依頼者にはあると考えるようにしております。
それだけではなく、丁寧に書き上げて主張した結果、思いのほか裁判所に通用し、和解が有利に進んだこともあります。
もちろん、箸にも棒にもかからないことばかりを言っていると、多忙ですべての事件に対し解像度を上げているわけにもいかない裁判官から怪訝な目で見られてしまうことはあるでしょう。
ですので、生乾きの主張を思ったままに吐き出すのではなく、丁寧に仕上げることが重要になってきます。



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